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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒
剛は戸惑った様に、私を覗き込む。
「……菊野さん?」
「……わ、私っ……剛さんに……毎年バレンタインのお菓子を作ってたけど……か、可愛い彼女が出来たなら、もう、私のなんか要らないでしょっ!」
(わあっ……私ったら何を言ってるのよ!剛さんが困るじゃない……)
理性では、自分がいかに愚かなのか充分分かっている。
私は血が繋がっていないとは言え、彼の保護者なのだ。
彼を邪な目で見ている私がいけないのだ。
想う資格も無いのに、勝手に嫉妬するなんて――
「わ……私」
喉の奥に痛みが走り、紅茶の中に涙が落ちて沈んだ。
「――菊野さん?」
剛が顔色を変えて立ち上がるが、私も弾かれた様に席を立ち、涙を拭い無理矢理笑ってみた。
「ち、ちょっと頭が痛いみたい……変な事を言ってごめんなさい……お休みなさい」
これ以上彼と居たらいけない、と思った私は寝室へ戻ろうと一歩踏み出すが、腕を剛に掴まれた。