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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒
―――――――――――
「――また作って下さい……て……
あ――っ!もうっ!
剛さんたら――!」
私は、チョコレートのプレートを手に一人悶絶していた。
バレンタインの出来事をまざまざと思い出すと、顔から火が出る程恥ずかしい。
剛からすれば、
"何を訳のわからない事でヒステリーを起こしてるんだこの人は"
と思うだろう。
「はあ……
いつか、剛さんだって結婚してここから出ていくだろうし……
今からこんな調子で私どうするのよ……」
左の薬指に光る指輪を見て私は、溜め息を吐いた。
私は、悟志の物。
それはわかっている。
この想いを抱えながら、隠し通してでも剛を引き取る事を決めたのは私。
一番に願うのは、彼が幼い頃に得られなかった幸せを取り戻して、心から笑って生きていける様になる事――
私が、その手伝いを出来たら、と――