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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
「ぐうう~……うおおっ?」
ソファでうたた寝していた貴文が、頭がグラリと垂れて、それに驚きカッ と目を醒ます。
「貴方、丁度良かったわ。そろそろ帰りましょう。片付けも終わったし……」
花野が言うと、祐樹は後ろから抱き着いて甘えた。
「泊まればいいのに~」
花野は、祐樹の手を握り頬を緩ませた。
「明日、ピアノ教室の発表会さえ無ければそうするんだけどね……また来るわね。
そうだ、たまには祐樹も剛さんも家に遊びに来なさいね?」
「うん~!また来てよ、絶対だよ――!」
祐樹と剛は二人を玄関まで見送り、手を振った。
ドアが閉じられ、タクシーが走り去る音がすると、途端に祐樹の瞼が重くなり欠伸する。
「ふは~……楽しかった……僕寝る。お休み……」
何度も大きな欠伸をしながら祐樹は自分の部屋へ入っていった。