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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
私はベッドの上で泣き続け、そのまま眠ってしまっていたが、ふと目覚めると既に部屋は暗く、ギョッとする。
ベッドサイドの時計を見ると十時近いではないか。
枕元に、いつの間にか母の字でメモ書きが置いてある。
”夕飯は私が仕上げてやっておくから、気分が良くなるまで寝ていなさい。
あなたの分は冷蔵庫に入れて温めるだけにしておくから。
剛さん、合格良かったわね、おめでとう"
「ああ……」
何て事だろう。
私は頭を抱える。
(剛さんの御祝いを皆で盛大にしようと張り切っていたのに、あんな事で心が激しく揺さぶられて……)
私が寝室に引っ込んでしまった事を、剛が気にしているかも知れない。
(せっかく皆集まったのに……悪いことしちゃった……)
ずん、と重い鉛を飲み込んだ様に、気持ちが沈む。