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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
家の中はしん、としている。
この時間だ、父も母も帰り、祐樹はもう休んでいるのかも知れない。
剛は、まだ起きているだろうか――
昼間、おかしな態度を取った事、寝込んでお祝いが出来なかった事を謝りたい。
彼の部屋を訪ねてみようか、とベッドから降りようとしたその時、ドアが静かに開き、悟志がびっくりした様に目を見開いて入ってきた。
「悟志――さん」
「……起きて大丈夫なのかい?
花野さんから連絡があってね……君が寝込んだって……
僕も帰りが遅くなってすまないね……」
悟志が、多分何処かのコンビニで買ってきたであろう果物入りのゼリーとプラスチックのスプーンを出すと私に差し出した。
「これなら口に入るかなと思ってね……」
悟志が優しく笑い、私も微かに笑いを返す。
「ありがとう……」