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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
「ぐっ……」
喉の奥から酸っぱい物が込み上げ、身体を折り壁に手を突くが、吐けない。
胸の中に渦巻く黒い嵐の様な感情が、何なのか分からず、苦しさにのたうち回りそうだった。
ドアの向こうからは、彼女の甘い啼き声が途切れ途切れに聴こえて来る。
此処に、これ以上居てはいけない、と思うのに、身体が言うことをきかない。
彼女がどんな姿で喘いで居るのか見たい――
いや、見たくない、見てはならない――
剛は、夢遊病の如くフラリとドアに近付き、気がつけばノブを廻していた。
ゆっくりと、開かれたドアの隙間から見えた物は――