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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
俺は、ムクムクと頭をもたげる邪悪を必死に打ち消そうとする。
――ダメだ……
清崎の事は可愛いと思ってる……
だが、俺が本当に欲しいのは菊野だ……
それなのに、欲だけで清崎を汚す事など――
清崎は、狼狽える俺を涙目で睨むと、俺の腕を引っ張り、目の前のホテルの入り口へと足を踏み入れる。
振りほどける筈なのに、俺はその時、彼女のなすがままになってしまっていた。
彼女は壁のパネルをタッチして、俺を振り返った。
「……な、慣れてるだとか、思ってる?」
「……」
俺は返事のしようがなくて、絶句するが、清崎はまた胸にしがみついて来て小さく呟いた。
「は……初めてなんだから……こんな事……
悪い子って……思わないで……」
「……清崎」
彼女は、顔を上げ、赤い目で囁いた。
「晴香……て呼んで……」