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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②




ブティックやデパートを何十軒はしごしただろうか。

お店の中や街にはパステルの春めいた色で一杯で華やいでいるのに、心が全く浮き立って来ないのはやはり剛の事が頭にあるからだ。


"晴香とデートしてきます……"


剛の笑顔を思い出すと、胸が痛い。


道行く人々の中には、春休みなだけあり学生風の初々しい付き合いたてのカップルも見掛ける。


(剛さんも、今頃彼女とあんな風に――?)



無邪気に手を繋ぎ笑い声を上げているのを見掛けると、心から羨ましいと思ってしまう自分が居た。


結婚して子供も居るのに、馬鹿げた感情だろうか。


私は、悟志と会う前に恋をした事が無い。

あんな風に、お互いの存在があるだけで幸せを感じる様な恋をした事が無い……


そう、剛を見付けるまでは――



何故、今なのだろうか。


何故、今、恋を私に教えるの――


知ったからといって、どうにも出来ないのに。

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