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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②




「菊野――!
歩くの遅いっ!」


真歩に向こうから大声で言われ、私は我にかえり足を速めた。



「ごめん……」


真歩に追い付くと、いきなりデコピンされる。


「痛――っ!?」


「も~、そんな暗い顔してたら折角のオシャレもメイクも台無しでしょ――!」


明るく笑う真歩に、私はハッとする。


私はずっと暗い顔を見せていて、彼女に気を遣わせていたのだろうか。


真歩は
「も一つオマケに、えいっ!」

と悪戯っぽく笑い、またデコピンした。


「い、痛い――!
少しは手加減してよっ!もうっ!」


「アハハ~!
さあ、ケーキ食べに行くよ!」



コロコロ笑い声を上げて軽やかに道を行く真歩の後ろ姿に、私は胸の中で詫びた。



――ゴメンね、真歩……

まあ、彼女は本当に暇潰しに私を誘っただけなのだろうけれど、考えてみれば今日、あのまま家に一人でいたらもっとめり込んでしまっていたのかも知れないのだ。



「待って……」


真歩に追い付こうと小走りすると、街の中に異質な光景を見付け、私は目を奪われ立ち止まった。
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