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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
何処に居ても分かる。
例え後ろ姿だったとしても、貴方の形は、私が一番良く知っているから、貴方だと分かる。
それは、私が貴方の髪の一本一本から、爪先まで、一つ残らず欲しいから、焦がれて居るから――
優美ささえ感じさせる長い手足、たおやかな仕草、頬から顎へのくっきりとしたライン、そして私の心を鷲掴みにする、その瞳の色――
「剛……さん……」
思わず、私は踵を返し彼を追っていた。
「ちょ、ちょっと菊野――!何処に行くのよ!」
「ゴメン、すぐ戻るから……」
目を丸くする真歩に早口で言い、剛の後ろ姿を見失わない様に走る。