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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
「……真歩の所に、戻らなきゃ……」
しかし私は辺りを見回し、自分が何処から走ってきたのか分からなくなってしまった。
全く見覚えの無い通りだ。
――しまった……
方向音痴なのに……
私は向かいの歩道に地図の案内板を見付け、道を渡り、現在地を確認しようとするが、聞き覚えのある声が耳に入り振り返り、全身が硬直してしまう。
十メートル程先の建物の半開きのドアの前で、剛が清崎と抱き合いキスしていた。
全身の血が引く、という感覚を、生まれて初めて実感していた。
自分が立っているのか、座り込んでいるのかも覚束無い。
私はふらつき、植え込みに尻餅をついてしまっていたのだが、その事にも気付いていなかった。
二人は掴み合う様に抱き合い、長いキスをしていた。
剛の手は彼女の背中を撫で髪を掻き抱き、彼女も剛にしがみついて離れない。