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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
鋭い痛みを脹ら脛に感じ、手で触れると赤い血が付いた。
植え込みに尻餅をついた体勢でいた私は、小枝でストッキングが破れて脚に傷を作ってしまっていたのだ。
新品の蝶のワンポイント柄のストッキングが台無しな上に、みるみる内に赤い血で染まっていくが、脚の痛みよりも、胸の中の痛みの方が激烈だった。
――私を抱き締めたその腕で、他の子に触れるの?
私にキスをした唇で、その子を愛するの?
「や……嫌……っ」
血が滲む脚に涙が堕ちる。
私は、今朝剛に何と言って送り出した?
彼の目もまともに見ず、口から出た声は自分の物とは思えない程刺々しい響きだった。
彼は何と思ったのだろうか。
嫌な女だと、嫌っただろうか。