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愛しては、ならない
第16章 貴方との夜

私は彼が目の前に立っているのを見て、信じられない思いで居た。
後ろから清崎が剛を追い掛けて来て、私を見て少し青ざめて居る。
デート中に彼氏の親と出くわしたのが気まずいのだろう。
真歩は突然の剛の登場にポカンと口を開けている。
剛は、私の脚を見て目の色を変えると、清崎を振り返った。
「ゴメン、ハンカチ貸してくれ」
「は、はいっ」
彼女からハンカチを受け取ると素早く私の脚に強めに巻きつけ縛る。
目の前の真剣な眼差しに、ドキリと心臓が跳ねたが、彼が両の腕を差し出したかと思った次の瞬間、身体がフワリと浮いて視界が高くなる。
目を丸くする真歩と、青ざめる清崎の表情、そして目の前には彼の逞しい首が見えた。
剛は私を抱え上げて、真歩を振り返る。
「真歩さん、車ですか?」
「う、うん!
今、取ってくるから待ってて!」
剛の言わんとする事を真歩は察して、バタバタと走って行った。

