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愛しては、ならない
第16章 貴方との夜

「な……何で……」
声が震えてしまう。
――何故、ここに来たの?
彼女と抱き合っていた筈の貴方が、何故?
どうして、放って置いてくれないの?
こんな風にされたら、また貴方に焦がれてしまう。
惹かれてはならないのに、もっと恋してしまう――
剛は溜め息を吐いた。
「こっちの台詞です……
今朝、俺に気を付けて、とか言っていた貴女がこんな風に怪我をしてるなんて……
一体何をしてるんですか」
「う……」
彼は、叱る様に、少し眉間に皺を寄せた。
私はぐうの音も出ず絶句して、情けなさと、彼が来てくれた事の嬉しさでまた涙を溢してしまう。
剛は顔を歪め、指で私の涙を拭った。
「……余程痛いんですね……病院へ行きましょうか」
私は首を振るが、ふと鋭い視線を感じてゾクリとする。
剛の肩越しに、清崎が青ざめたまま、唇を噛み私達を見詰めている。
私と彼女は図らずも目と目が合い、奇妙な緊張が走った様に感じた。
彼女の目は咎める色を含んでいて、私は背中に寒気が走る。
まさか、彼女に私の気持ちを、知られてしまっていないだろうか?

