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愛しては、ならない
第16章 貴方との夜



門の前で停車すると、剛が降りて手を差し出し、彼女が彼の手を握り締め降りる。


その一連の動作がとても自然で、私はまた嫉妬の感情に苛まれてしまう。

だが、勿論そんな胸の内を悟られてはならない。


「清崎さん……
本当にごめんなさいね……
お家のかたに宜しくね?」


後部席の奥から言うと、彼女は花の様に微笑み、頭を下げ、剛に何か耳打ちした。

剛は頷き、私の横に座ると彼女に手を振る。



「じゃ、行くよ~」


真歩は車を発進させる。


ミラーに映る彼女の姿が見えなくなり、信号待ちしながら真歩はニヤニヤして言う。



「何よ~剛君たら!
やるね~!
可愛い子じゃない~」


「やるって……
何をですか」


剛が平然と返すと、信号が青に変わり真歩はアクセルを踏み、自由な左手をヒラヒラさせる。


「やるってあなたそりゃ――ねえっ!
色々あるでしょ――!」


「……何だかセクハラチックな誘導尋問ですね。
家庭教師が、生徒にセクハラとはいかがなものですか」


剛が澄ました風に言うと、真歩はケラケラ笑う。


「きゃ――!
いいわねぇ~それ!
家庭教師と生徒の少年のイケナイ授業ってやつ?
いいんじゃない?
次はそれで行こうか!
キャハハハ」



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