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愛しては、ならない
第16章 貴方との夜



「まあ~でも菊野、あんたがもうちょいしっかりしないと、剛君がお婿に行けなくなるわよっ?
いつまでもそそっかしいママの御守りをしていられないものねえ、剛君~?」


剛は口元を緩めこちらをちらりと見るが、私は恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。


「お、御守りなんて、要らないもん……
お、大人なんだから……」

「あ~今日は脅かされたり笑わされたり忙しい一日だったわあ~!
……菊野、くれぐれも、家の中でも転ばないようにね?」



「ぐ……
も、もう転ばないよ……多分……」



真歩は笑いを噛み殺しながら左折し、西本家の前で停車した。


家の灯りは点いていない。
まだ悟志は帰っていないようで、ホッとした様な、怖い様な複雑な心境になる。


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