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愛しては、ならない
第16章 貴方との夜

その夜の悟志の興奮は凄まじく、私は正直身が持たないと思ってしまった。
そういう訳でそれ以来着ていないのだが、せっかく気に入っているのに勿体無いという気持ちもある。
「いやでも……
剛さんの前でこんなの着れない……
ああだけど……
悟志さんが居ない時に着るしか機会がないかしら……
でも剛さんが……」
服を持って部屋の中を熊のようにぐるぐる歩き回るが、そんな自分が可笑しくなって来た。
――大体、私がどんな際どい格好をした所で、剛さんには魅力的な彼女が居るのだし、何とも思わないかも知れない。
だって、あんなに熱烈に抱き締め合ってキスをしていたし……
そこまで考えると、胸が痛くなってきたが、努めて明るい声を出してみる。
「……いいや、これにしよう!
この上に何か羽織れば隠れるし!」
――悟志さんが帰らない事を、黙っておいた方がいいのかしら?
私はふと考えるが、答えが出ない。
剛は、私にもう興味はないかも知れない。
けれど――
先程、車の中で手を握られた事を思い出して困惑する。
――どういう気持ちで、あんな思わせ振りな事をするの――?
胸の痛みを感じながら、私はバスルームへ向かった。

