この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第17章 貴女との夜に
「ふっ……んっ……んんっ」
俺のシャツを掴み、脚をばたつかせ抵抗の仕草をしながら、甘い吐息を漏らし、時折身体を震わせる。
長く長く、唇を貪っていたが、彼女がまた苦しそうに顔を歪めたので離してやると、頬を打たれた。
打たれた頬に思わず触れ、俺は低く笑った。
「初めてですね……
貴女にぶたれるのは……
以前、祐樹と悪戯した時には尻を叩かれましたけど……」
「……っ……ぶ、ぶちたくてぶったんじゃないの……
つ、剛さんが悪いんだから……っ!」
菊野は、俺を殴ったのを早くも後悔しているようだ。
涙を流し、打った俺の右頬にそっと手で触れ、撫でた。
その仕草は、まるで母親が転んで泣いている幼子を
"痛くない、痛くない"
と宥めあやしているかの様に優しく、俺の胸を甘く熱くさせる。
彼女の、そういうところが、たまらなく愛しい。