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愛しては、ならない
第17章 貴女との夜に
『……菊野は、どうした?』
悟志の声はいつもと変わりないように聞こえるが、僅かに緊張が混じっているようにも感じた。
菊野は、俺の行動に驚きハラハラしたように隣で見詰めている。
そんな彼女の肩を抱き寄せて、頬にキスした。
「――っ」
菊野は紅くなり、またすぐに青くなるが、俺は微笑みを向けながらゆったりと話す。
「……さっきまで僕とお喋りしていたんですけどね、疲れて眠ってしまいましたよ」
『――そうか……
今夜は帰れないが、剛君、念のため戸締まりと火元の確認だけ頼むよ』
――帰れない?
菊野をちらりと見ると、気まずそうに顔を逸らした。
俺は、悟志の言葉の意味を頭の中で反芻し、頷き平静を装い答える。
「大丈夫です。
……家も菊野さんも、しっかり守ります」
抱き寄せた彼女の細い肩に触れる指に力を込める。
菊野は更に紅く頬や首筋を染めて俯いていた。