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愛しては、ならない
第17章 貴女との夜に



『……剛君がいてくれて、心強いよ』


男らしく優しい悟志の声に、俺は嫉妬の感情が湧いてくる。

俺には無い、逞しさと落ち着きと、おおらかさを持った彼は立派な大人だ。
この優しい声で、彼は菊野に愛を囁くのだろう。


菊野は、隣で微かに震えて息を詰めている。


俺は長い髪をそっと撫で、今、彼女より優位に立っている事を自覚し、征服欲が刺激される。


――だが今、彼女を抱き締めて居るのは俺だ――


「……とんでもありません……
悟志さんも、お疲れ様です……」


『じゃあ、頼んだよ……
お休み』



悟志からの電話は切れた。


俺はスマホを彼女に渡して低く囁く。


「……朝まで、二人きりですね」


「……っ」



彼女の震えが俺の掌に伝わり、いとおしさと欲望で身体がはち切れそうだった。
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