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愛しては、ならない
第17章 貴女との夜に
腕の中で小さな息を立て眠る菊野は、自分よりも十四歳上の大人と思えない程頼りなく、可憐で無邪気な寝顔だった。
俺は、涙で頬に貼り付いた髪を指でよけて、そっとキスをして彼女から離れ、ベッドから降りる。
「……ん……」
小さな声がその唇から漏れ、俺はまた抱き締めたくなる衝動にかられたが、また彼女に触れたら本当に今度こそ滅茶苦茶にしてしまう――
彼女が好きだ。
彼女を自分だけの物にしたい。
心も身体も、全部を。
そんな欲と同時に、傷付けたくないという気持ちも同じにある。
彼女の白い肌に付いた俺の痕を見ると、激しい自己嫌悪と、欲情が同時に襲ってくる。
目から彼女の肌を隠す為に肩まで毛布を上げると、俺はなるべく音を立てずに寝室から出ていき、ドアを閉じた。