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愛しては、ならない
第18章 私も、愛しているのに
剛の側に行こうとするも、悟志にがんじがらめにされて動けず、私はせめて手を伸ばそうとするが、その手を何処から現れたのか、祐樹が掴む。
「さ、悟志さ……祐樹……っ」
「――ボクを欲しいと言ったのに、やっぱり要らないんだね」
剛は、平坦な声色で言う。
「剛さんっ……違う、違うの……」
私は必死に彼に呼び掛けるが、彼は悲しげな瞳を向け、右手に何か光る物を持ち振り上げた。
「貴女がボクを要らないなら……ボクはもう消えます――」
剛が振り上げたそれが、鋭いナイフだという事に私が気付いたのは、彼が自分の喉を切り裂き鮮血が迸るのを見て絶叫した時だった――