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愛しては、ならない
第18章 私も、愛しているのに
入ったらダメ。
彼を見たら、また恋しい気持ちが溢れてしまう。
また、彼に惹かれてしまう。
抱いて、と口にしてしまう――
胸の中で、もう一人の私が必死に
"止めろ"と繰り返し叫ぶ。
だが、私はドアノブを回し、中へと足を踏み入れた。
真夜中の静寂の闇の中で、剛はベッドで眠っていた。
安堵の溜め息を私は吐き、ずれた毛布を肩まで上げようとするが、彼の目尻に涙が光るのを見て手を止める。
彼の唇が僅かに動き、小さな寝言を呟く。
「……き……くの……」
胸が切なく痛み、私は喉の奥が締められ嗚咽しそうになる。
彼は、今、私の夢を見ているのだろうか。
出来るなら、夢の中へと入り込み、彼に思いを告げたい。
私も、私も貴方を好きだと。
貴方をずっと愛していた、と。