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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
「……でも、夢の中であの手を取っていれば、俺は死ねたかも知れない……」
彼の言葉に、喉の奥を握り潰された様な痛みと衝撃を覚え、私は大きく首を振り、その手を強く握り締めた。
「な、何を言うの……!
死んでしまったら、私、こうして剛さんに会えなかったのよ?
……死ななくて良かったのよ……」
「……それは、どうか……な」
剛が、弱々しい眼差しを向けた。
「……え……」
「生き延びた俺は……
貴女に会って……
貴女に恋して……
そして苦しめて……る……」
私が絶句すると、彼は、また苦しそうに咳き込む。
「剛さん……
お願い……もう、喋らないで……
休まないと……熱が下がらないわ」
涙が溢れてしまい、しゃくりあげながら私はやっとの思いで彼に言う。
「……このまま、別に死んでも構いません」
「バカを言わないで……っ」
剛が、苦し気に眉を歪ませ、私を見詰めた。
「貴女を……愛せないなら……
俺は……死んでも……」
「バカア!」
私は思わず彼の頬を打った。