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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
『いつかママとも行きたいな~!
や、じゃなくて、俺がリサイタルを開いてママを招待する!』
祐樹の瞳は、きっと今希望に満ち溢れ輝いているのだろう。
私は、息子が夢を抱き胸を踊らす様子を電話越しの声に感じながら、剛の絶望的な言葉を唐突に思い出し、また胸が詰まる。
「良かったわね……
祐ちゃん、本当に良かったわね……」
『ママ、どうしたの?
声が変』
「そう?泣けるドラマ見てたからかな~」
私は、鼻を啜り、明るく答えた。
『あ、花野ばーばに代わるね』
『もしもし?
そういう訳で楽しませて貰ったわよ~!
今から近くの動物園を見てから新幹線に乗って帰るけど……
多分夕方には帰れると思うわ』
「ありがとうお母さん……
祐樹を宜しくね」
切ってから、私は暫しスマホの画面を見ていたが、ふと、剛は将来どうするつもりなのだろうか、という疑問が湧いた。