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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
剛にまた甘く切なく囁かれたら、私は拒否出来るのだろうか?
正直、自信がなかった。
施設で一目見てから彼に母性を超えた愛を感じていた。
彼が成長し、美しい青年になっていくのを、密かに胸をときめかせて見詰めていた。
でも、想いのままに、彼との恋に溺れてしまったら、私も彼も破滅に向かうだけだ。
彼が、何か他の事に目を向けてくれたら――
「……そうだわ……
将来……
将来の事……
話をしてみようかしら」
彼が起きて元気そうだったら、話をしてみよう。
剛は成績も優秀だし、ピアノの才能もなかなかの物だ、と花野も太鼓判を押している。
「――学校の音楽の先生とか……
ピアノの先生もいいわね……」
私の勝手な希望と想像だが、考えているうちに、段々と気持ちが軽くなるのを感じた。
「励ましながら、剛さんの将来を応援しなくちゃ……」
私は気合いを入れるようにエプロンのリボンを締め直し、取り敢えず洗濯 から片付ける事にした。