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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
家事を一通りこなし、夕飯の下拵えをしながらお粥も炊いた私は時計を見て、剛の様子を見に行かなくてはと思う。
救急箱から薬を出して、お粥と水をトレーに乗せて注意深く階段を上がる。
以前、派手に転げ落ちた事があるのだ。
頭に瘤が出来ただけで済んだが、鍋を持ったまま転げたら大惨事になってしまう。
「……気を付けて……
気を付けて……」
呪文を唱える様に呟き、何とか無事に剛の部屋の前まで辿り着いた私は安堵して溜め息を吐いた。
でも、本当に危険なのは、この部屋で二人きりになる事だわ――
私はドキドキ胸を鳴らしながら声をかける。
「剛さん……
気分はどうかしら……?
お薬、飲みましょ……?」