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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
反応がない。
私は静かにドアを開けるが、ギイと大きな音を立ててしまい、自分が驚いて声を上げてしまった。
「うわあああ」
そのせいで、眠っていた剛が目を覚ました。
彼は、目をしばたかせ、暫く呆然としていた。
冬眠から覚めた熊は、こんな風なのではないだろうか、と私は想像しながらトレーを机まで運ぶ。
「ごめんね……起こして……
でも、何か食べてお薬飲んだ方がいいから……
お粥、ここに置くわね」
剛は、先程よりはスッキリとした表情をしていた。
私は彼と視線を合わさないようにして、ドアに手をかけるが、熱のこもった眼差しを背中に感じていた。
「……後で、食器を取りにくるから、ちゃんと食べてね……」
振り返ったらいけない。
そう自分に言い聞かせ、私は部屋から出てドアを閉めた。