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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②
「は……離して……お願い」
涙で、視界がぼやけてしまう。
祐樹や悟志がいつ帰ってくるか分からないのに……
もし、こんな処を見られたら……
そんな事になったら、一体どうなってしまうのだろう。
剛は、悲しげな微笑を向け指で涙を拭い、私の思いを全部見透かす様に言った。
「……もし、誰かに見られても……
菊野さんは悪くありません……
俺が……全部悪いんです」
「剛さ……」
「安心……出来ないかも知れませんが、安心してください……
貴女が本気で嫌なら、俺は手を出しません……」
胸が痛む。
本気で嫌な訳がない。
私は貴方が好き……
もし、私が貴方ともう少し年齢が近かったら。
私が悟志さんの妻で無ければ。
迷わずその腕の中に飛び込むだろうに――