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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②
「……そんな目で見ないで下さい」
剛は、突然私から手を離すと起き上がり背を向けて髪を掻きむしり頭を抱え俯いた。
私は、まだ胸の高鳴りが収まらず、落ち着こうと深呼吸して身体を起こすが、振り向いた彼と目が会い、その眼差しに呪縛されベッドから降りる事が出来ない。
「菊野さんは、嫌がっていない……」
「え……っ」
「拒否もしないし、受け入れもしない……」
剛は、低く呻き、溜め息を吐く。
正にその通りで、私は何も言えずに彼を見詰めた。
「ほら……
そうやって、俺を惑わすんです」
「そ……んなつもりじゃ」
「俺に触れられる時の、貴女の表情を見たら……
勘違いしそうになります」
「ど……どうして?」
私は、やはり感情が全部顔に出てしまっているのだろうか。
彼をうっとりと見詰めているのに、気付かれてしまっている?