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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②
「菊野さんは――」
剛のひたむきな瞳は真っ直ぐにこちらに向き、その唇は私を幻惑させる。
彼は、何を聞くのだろうか。
私の気持ちを、確かめようとしているの?
今、聞かれたら。
"俺を、好きですか"
なんて、その瞳で、その唇で、その声で今、聞かれたら、うっかり、本当の気持ちを打ち明けてしまいそうで――
彼は、ベッドに片手を突き、口をゆっくりと開く。
「……菊野さんは」
――ダメ!
今、聞かれたらダメ!
「あ―――――――っ!」
私は咄嗟に、身体中で叫ぶ。
「……っ?」
剛は、耳を押さえて目を白黒させた。
暴れる心臓が身体から飛び出るのではないかと思う程苦しかったが、彼の気を逸らすのに私は必死だった。