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愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪
左の人差し指から赤い血が滴り落ちる寸前、剛は素早くその手を掴み、口に含んだ。
心臓が大きく跳ね、途端に早鐘を打ち始めるが、射る様な悟志の視線に背筋が冷たくなり、私は固まってしまう。
剛は、身体を強張らせた私と、険しい目を向ける悟志に気付き、指から口を離し微笑する。
「応急処置ですよ……」
「……っ」
私は、思わず彼の手を振り払ってしまう。
瞬間、剛は瞳を揺らすが直ぐにいつもの冷静な表情に戻り、言った。
「片付けはやって置きます……
悟志さん、菊野さんの手当てをしてあげて下さい」
「ああ……ありがとう」
悟志は剛から視線を逸らさないまま私の肩を抱き、寝室へと向かった。