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愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪
寝室の照明を点け、悟志は私をベッドへ座らせる。
救急箱から消毒とコットンを出し、私の左手を取りそっと傷口に当てた。
「痛いかい?」
「うん……大丈夫……」
「止まったかな……」
「ありがとう……」
「……一番いい役を、剛に取られたな」
彼は、絆創膏を指に貼りながら呟いた。
軽口を返す事が出来ずに絶句してしまう私をじっと見詰めるが、突然両の手首を掴んできた。
「きゃっ……な、何」
悟志の目が、今まで見た事の無い色をしていた。
「どうしたんだ……これは」
私はハッとする。
手首に、剛に強く掴まれた痕が残っているのだ。
悟志は私の目を覗き込み、声を震わせた。
「……菊野……
何故、そんなに怯えている?」
彼に言われ、私は自分が身体も唇もわななかせていた事に気付いた。