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愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪
「菊野……
どうしたんだ……」
「な……な、何でも……っ」
私は首を振り笑おうとするが、意志とは反対に勝手に涙が溢れてくる。
悟志は私の手首を掴んだまま詰問する口調で言う。
「――この腕は、何故こんな風になっている? 」
「……それは」
「まさか……誰かに、何かをされた……のか」
「――!」
私は、身体を一際大きく震わせてしまった。
それはつまり、肯定の意味だと悟志は解釈する。
「菊野……っ!」
悟志は私を押し倒し、組み敷いた。
「悟志さんっ……!
違う……違うのっ……
何でも……」
「何でもなくて、そんな風に泣くのか!
誰だ!誰がこんな――」
悟志は、不意に口をつぐみ低い声で言った。
「……剛……か」
私の全身が硬直する。