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愛しては、ならない
第4章 ボーイ・ミーツ・ガール
「来てから5年近く経ちますけど、かなり落ち着きを取り戻しましたよ……ピアノを少し教えたんですが、自分で練習して沢山の曲を弾けるようになって……素晴らしい事です。
ほんの少し基礎を教えただけなんですけどね」
ショパンの"華麗なる大演舞曲"を一心に弾く剛の姿を見て、園長は微笑む。
剛を見れば見るほど、祐樹と似ていた。
特にピアノを弾く姿は祐樹と重なって見える。
祐樹がもう少し大きくなったら、剛の様にスラッとした姿になるのだろうか。
優美ささえ感じるその姿に私はいつしか見とれて、園長の話が耳に入って居なかった様だ。
「……さん、西本さん?」
「あ、は、はい!何でしたっけ?」
慌てる私に園長は笑った。