この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第4章 ボーイ・ミーツ・ガール
「表面上は、立ち直ったかの様に見えますが……
心に深い傷を負った子供です……
彼には、過去を乗り越えて自分の人生を生きて欲しい……」
「……」
剛は曲を弾き終えると、肩を上下させて息を吐いた。
その時、吐息で真っ直ぐな前髪が揺れて澄んだ瞳が覗き私は何故かドキリとした。
剛はゆっくりと天井を仰ぐと目を閉じてショパンの"ノクターン"を弾き始めた。
しなやかに華麗に踊る指を目で追っていたら、園長が静かに言った。
「どうですか……
彼と話をしてみますか?」
「えっえええ!?」
すっ頓狂に叫んだ私を、剛は手を止めて見た。
ガラスの様に綺麗で脆そうなその瞳と目が合ってしまい、全身が総毛立ち居ても立っても居られなくなり、私はその場を駆け出してしまった。