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愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪
私の目は悟志が手に持つ、黒く艶々と光り微かに振動する塊に釘付けになる。
「や……やだ……
そんな物……止めて……」
後ずさるが、ベッドの上で逃げ場がある筈もなく、私は呆気なく押し倒され手首を一つに纏め上げられる。
悟志が黒い塊を私の鼻先まで近付け見せ付ける。
「覚えているかい……
君が、泣いて嫌がったやつだよ……」
「――っ」
記憶が甦る。
新婚当時、悟志が突然玩具を出して、私に使おうとした事があった。
私がセックス自体が好きでなく、そんな物を目にするのも初めてで恐怖に泣き叫んだ為に、彼は使うのを諦めたのだ。
"ゴメンね菊野……
君が嫌なら、絶対にしないから……
もう、怖がらせたりしないからね……"
あの夜、怯えて泣く私を優しく抱き締めた悟志はもう居ない。
目の前に居るのは、嫉妬と凶悪な情欲に支配された男だ。