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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
だが、面と向かって断る勇気もないまま、ズルズルと日々は過ぎていき、周囲だけが盛り上がり、何故か私と彼は付き合っているという事にされてしまっていた。
ある日、真歩が風邪で休んだ時、彼がいつもの様に校門の塀に凭れて私を待ち構えていたが、その日は彼も一人だった。
私も、周りの友達は皆居残り勉強だとか部活で居なくて一人。
どうしよう、と躊躇したが、校門を通らなければ帰れない。
歩みを止めたまま、立ち尽くして居たら、彼が私を見付けて手を上げた。
「こんにちは!
……今日は、一人?」
「……ひ、一人じゃありません」
「え?」
首を傾げ、彼は周りを見るが大笑いする。
「誰もいないだろ――!
菊野ちゃん面白いな――!ハハハハ」
その大きな声に私はまたビクリと震えた。