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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
「あらあ、折角ですしゆっくりされていけばいいのに……」
引き留めようとする母に、悟志は礼儀正しくお辞儀をした。
「いえ……お気持ちだけいただきます。
今日はいきなり上がり込んで申し訳ありませんでした」
「そうだそうだ!
とっとと帰りなさい!
娘はロリコンの餌食にはさせないからな――!」
「貴方!」
「パパ――!」
ムキになる父を、母と私は怒ったが、悟志は爽やかな笑みを父に向け会釈し、玄関へと歩いて行ってしまう。
「に……西本さん」
私は彼を追い掛けるが父の声が後ろから飛ぶ。
「菊野――!
そんな奴、勝手に帰らせて置けばいいんだっ!
塩を撒いてやりなさいっ塩を!」
「あ――な――たっ!」
「うおぇっ」
母が、父の首を絞めて食い止めているのをチラリと見て、私は彼を追って玄関のドアを開けた。
彼は、丁度車に乗り込んだ処だった。