この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
「そんな畏まらなくて大丈夫だよ。
只のオジサンにさ~」
「い、いえっ……そんなっ」
へどもどしていたら、悟志はポケットから名刺入れを出し、一枚私に寄越す。
「これ、お父様に渡しておいて?
じゃ、またね~」
軽やかな口調で言い放ち、彼は車を走らせ行ってしまった。
「西本さ……」
呼び止める間もなかった。
私は溜め息を吐き、彼が去った方向を暫く見詰めていた。
彼は、"またね"
と言ったが、何故か私も、また会える様な気がしていた。
そして、その予感は当たった。
父が仕事の取引先とのゴルフコンペで、悟史に遭遇したのだ。
悟志の勤める会社が、たまたま取引先だったらしい。