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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
『お嫁においで』
まさかその言葉が現実になるとは、思わなかった――
"菊野……
大丈夫だよ……
何も心配しないで……
僕に任せて……"
結婚初夜、悟志は怖さと恥ずかしさに震える私に、優しくしてくれた。
式を挙げるまで、私に触れなかった悟史。
初めての痛みに泣き出した私を、いつまでも優しく抱き締めて頭を撫でてくれた。
『一目見た時から君を好きになった』
悟志の告白が、その言葉を告げた瞬間(とき)の切ない色の瞳が、今になって私の胸をキリキリと締め上げる。
――私を、最初から?
思ってくれていた?
私が、施設でピアノを奏でる剛の姿に心を奪われた様に、貴方も私の事を、あの出逢いの時から――?