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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
今なら解る。
想いを、胸に秘め続ける事が如何に苦しくて、孤独か。
悟志を好ましいと思い結婚しても、私は彼に恋をした訳ではない。
幼い頃からの夢を叶える為に、父に似た優しい彼を選んだ。
ただ、それだけの事だった。
それで良いのだ、幸せなんだ、と思っていた。
剛に出逢ってしまうまでは――
私は、なんという残酷な仕打ちを悟志にしていたのだろうか。
私が、悟志を男として見ていない事を、彼は最初から分かっていたのかも知れない。
優しい眼差しの中にふと過る寂しい色に、私は気付かない振りをしていただけなのではないだろうか?