この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
何故、私はこうしているのだろう。
悟志から愛情を受けながら、十五歳の少年に心を奪われ惑い乱れた私こそ、血を吐き反吐(へど)を吐き苦しむべきなのではないの――?
腕の中、紅い血にまみれながら、柔らかく微笑んだ悟志の表情が脳裏から離れない。
何故、そんな顔をするの?
そんな優しい目で、何を私に言おうとしたの?
どんなに酷い言葉をぶつけられても、仕方がないのに。
いっそ、私が悟志の代わりに倒れれば良かったのに――――――
「――菊野、菊野!」
母に肩を揺すられて、私はストッキングを握ったまま、いつの間にか涙を流していた事に気付いた。