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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
母が、硬直した様に握られた私の拳に手を添えて、目尻を優しく下げて言った。
「そんな風に泣いたら、綺麗にお洒落したのが台無しよ?
……病院と、家の事に、子供達の事に……
大変だったわね。
頑張って来たわね。
悟志さんの事は私も心配よ?
……でも、今日の剛さんの入学式は、悟志さんも凄く楽しみにしていたでしょう?
涙を拭いて笑顔で!
しっかり、見届けて来なさい」
母が、子供の頃そうしてくれた様に、私の頭をポンポン叩いた。
ぽつ、ぽつとまた涙が溢れてしまい、しゃくり上げる。
「お……お母さ……わ、私っ……」
「はいはい」
母が笑いながらハンカチでそっと拭っていたら、ドアを開けて祐樹が覗く。
「あ――ママ!
可愛い!
お姫様みたい!
ねえ?剛」
祐樹の後ろに剛が立っているのを見て、私は息が止まる。