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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情
「ほらほら、今日位は沈んだ顔は封印しなさい!
……病院には私と祐ちゃんが行くから、貴女達は帰りに食事でもしてきなさい?ね?」
「ママ~!
大丈夫だよ!
パパは強いんだから!」
母と祐樹、二人して元気付ける言葉をかけてくれて、私は涙が溢れそうな目元をハンカチで押さえ、笑ってみせる。
「うん……
ありがとう……」
「ほら、そろそろ時間よ?
剛さん、今日は入学おめでとうね!
さあ、行ってらっしゃい!」
「ママ~!
剛~!
行ってらっしゃい――!」
母と祐樹が玄関まで元気に手を振りながら見送る中、私と剛は出掛けた。
満開真っ盛の桜並木を二人で歩き、私は剛より少し後を歩いていた。
彼のくっきりとした綺麗な輪郭と、真っ直ぐな髪が風に揺れるのに見とれながら、履き慣れないハイヒールでおっかなびっくり歩いていたが、後ろから自転車が走ってきた事に気付かず、ベルを鳴らされ慌てて避けた時によろけてしまう。