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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②

受付を済ませ、入学式会場の体育館で俺は新入生の席へ、菊野は横の保護者席へと座る。
まだ二十九歳の菊野は、保護者の中ではやはり一際若く、目を引いた。
母と言うには余りにも可憐で幼く、いじらしい、俺の大事な女(ひと)を、つい目で追ってしまう。
悟志の事で精神的に張り詰めて居る彼女が心配なのは俺だって同じだ。
あの夜、俺は救急車に乗り込み一足先に病院へ行ったが、寝室で呆然と座り込んでいた彼女を、駆け付けた真歩がシャワーを浴びさせ着替えさせて病院へ連れて来た。
花野は、あの紅く染まった寝室を一晩かけて掃除してくれた。
当然、菊野は医師に、悟志が倒れた時の状況を聞かれた筈だ。
烈しいセックスの後、夫が倒れたという事を菊野は説明したのだろうか。
夫婦なのだから当然の行為だが、医師とは言え他人にそんな事を伝えるのは戸惑っただろう。
彼女は、堪らなく恥ずかしく辛い思いをしたかも知れない。

