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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
ステージの下に設置してあるスタンドマイクを通し、教師が
「あ、ああ――」
とマイクテストをした後、
「只今より、新入生入学式を始めます……
新入生、在校生、保護者の皆様、起立して下さい」
と言い、皆一斉に席から立ち上がった。
「そういや、新入生代表の挨拶するんだろ?
頑張れよ」
森本が後ろから小さく言った。
教頭と校長の長い話を上の空で聞きながら、俺は軽く深呼吸する。
入試の成績がトップの生徒が新入生代表の挨拶をする決まりなのだが、その生徒がこの高校を蹴り、他の高校を選んだらしく、次点だった俺に回ってきて来たらしい。
当たり障りなく、その場の雰囲気に沿った定型文の様な挨拶の原稿をポケットから出し、最後の確認をする。
自慢ではないが、暗記が得意な俺には造作無い事だった。
この高校へ俺を入学させるのは菊野の願いだった。
校風も良く、何より家から歩いて通える距離だから、と彼女が強く推したのだ。