この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
「新入生代表、西本剛君!」
呼ばれ、俺は立ち上がる。
「はいっ」
皆の視線が一斉に刺さるのを感じながら、俺は新入生達の前を通り、来賓席や保護者席の方へと礼をして、壇上へ上がる。
保護者席の菊野は、青ざめては居たが柔らかな笑顔で俺を見て居た。
――菊野さん……
貴女が望む様に、俺はこの学校で模範的な生徒になる……
恥ずかしく無い様な成績を取って卒業してみせる――
俺に出来るのはその位しか無い……
だから少しでも元気になって、以前の無邪気な笑顔を見せて欲しい――
俺は、ステージに掲げられた国旗に一礼し、マイクを調整し、挨拶を始めた。
「――桜の綻ぶ今日の日……」