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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
「――晴れやかな日の如く希望に満ち溢れた私達は――」
保護者席で俺を見詰めていた菊野が、ハンカチで口を抑え俯いたと同時に椅子から崩れ堕ちた。
俺はその光景を目にすると、直ぐ様ステージから飛び降り、一目散に彼女の元へと走り寄り、倒れた身体を抱き上げる。
女生徒の悲鳴が耳に届き、保護者や教師達の視線が背中に刺さるのを感じながら、呆気に取られる教頭に俺は
「保健室は何処ですか」
と訊ねた。
「保健室は……
体育館を出て校舎の一階の突き当たりだが……
き、君、新入生挨拶を」
オロオロする教頭に俺は頭を下げると、森本の方を向いて叫んだ。
「森本!
悪いが後は頼む!」
「へっ?
お、俺――!?」
森本は目を丸くして自分を指差したが、俺は人々のざわめきの中、菊野を抱え体育館を後にした。