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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②



清崎と目が合ったが、俺は曖昧な笑みを彼女に向け、顔を逸らしてしまった。


彼女が唇を噛み俺達の後ろ姿を見詰めているのを気付かない振りをして――


森本に釘を刺されたばかりなのに、更に目立つ事をしてしまったな――



苦笑しながら廊下を歩み、保健室を見付け扉を開けた。



――誰も居ない。


俺は一番奥のベッドに菊野をそっと寝かせ、ハイヒールを脱がして揃えて置いた。


貧血か何かだろうか。

菊野は、季節の変わり目に喘息の症状が出る事があるが、貧血気味だとも聞いた事がある。



菊野は、ベッドに降ろしてもぐっすりと眠って居た。



その無垢な瞼を、頬を、見詰めるだけでどうしようも無く強い恋情が沸き上がり、俺を支配していく。


――不味い、ここは学校なんだぞ、と思い止まろうとしたのはほんの一瞬で、俺は身を屈め彼女の頬に触れ、花弁を思わせる唇を奪った。


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